デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……顔、上げろよ」

静かに、シュリの声が降ってきた。

桜が悲しさに歪めた顔をゆっくりと上げると、シュリはフッと笑って言う。

「何でお前が泣きそうな顔してるんだよ」

「だって……」

たまらず、あとからあとから涙があふれてきた。

「王の、どこが良かったんだよ?」

今度はシュリが虚ろに目を伏せ、また葉をくるくると回した。

「わかりません……気づいたら、好きでした」

「……っ」

その言葉に顔を歪めて、手の中の葉を握りつぶす。

「金と顔と地位か?」

冷笑したその声に、思わず目を見開く桜。

「ち、違います!そんな……そんなの関係ないです!王様だから、あの人だから好きになったんです!」

「じゃあ俺とどこが違うってんだよっ!」

怒鳴り返され、ビクッと体が動きを止めた。

ガチャン、と乱暴に食器の音をさせてシュリは立ち上がり、向かいに座る桜を無理やり立たせた。

グッ、と力任せに彼女のウエストに腕を回し、苦しそうにその瞳を細める。

「何でだよ。何で、言葉もわからないお前のそばにずっといて、先に好きになった俺じゃなくて……王なんだよ」

「ご…ごめんなさい……」