デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

客用の宮の一室に、少しの沈黙が降りた。

桜はぎゅっとワンピースの膝を握って、それでもシュリをじっと見つめていた。

「……へえ?」

シュリが、その唇の端を持ち上げた。指先でくるくると器用に魚料理に添えてあった飾りの葉を弄ぶ。

「案外早かったな。答えが出るの」

「………」

「じゃあ、聞こうか。……誰だよ?お前が好きな奴って」

笑いを収めてパッと飾り葉を放り、桜の黒い瞳を見た。

一度目を伏せ、くっと口を結んだあと、桜はまた顔を上げた。

「私……王様が好きなんです」

静かに、しかしはっきりとシュリに告げた。

「………」

「だから……シュリさんの気持ちには、応えられません。すみません………でも、ありがとうございました」

手をつき、深々と頭を下げた。

噛みしめた唇が震えて、もう少しで泣いてしまいそうになる。

……重い沈黙がおりた。

桜はシュリが声をかけるまで頭をさげたまま、彼の表情はわからない。