デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

顔をしかめて、唇を引き結ぶ。

仕事を始める前までのイライラモヤモヤとした黒いものが、また心に渦巻き始める。

努めて彼女らを無視しようとしたのだが、気がついたら、

「そこな女官」

呼び止めていた。

彼女らは振り向き、驚いた顔で深く礼をした。

「これは、我が君」

「許す。面を上げよ。……その箱は?」

「はい、ご客人と、王都武官様にお出しした膳の箱にございます」

青い髪の娘が答える。

「そうか……」

目をそらし、少し言いよどんだ王を、二人はじっと見つめた。

「……我が客人と、その武官の様子はどうであった?食事を、存分に楽しめそうであったか」

聞きたくもないのに、心にもないことを聞く。

「………」

茶色の髪の女官が少し黙った後、すっと目を細めてニッコリと笑った。

「はい、我が君のお心遣いに、いたく感じておいででした」

「………」

青い髪の女官も、静かに言う。

「私どもがお部屋に参った際、お二人で睦まじく手をお繋ぎになりながら並んでお座りになり、お話をされていらっしゃいましたので……我が君の温かなお心遣いで、より楽しいお時間を過ごされていらっしゃるかと」

恥ずかしそうに自分たちの事を友達と言った桜の、さっきの泣きそうな表情を思い出し、二人は穏やかに容赦ない言葉を主君に言った。