時間は少し遡り。
深宮に帰る気になれずに、夕方から王は公宮にいた。
執政の間で、届いたばかりの、本来ならば明後日に処理されるはずだった請願書に目を通していた。
いきなりのことだったから、執政補佐官たちもほとんど帰宅してしまった後だった。
なので自ら筆を取り、赤い墨で指示を書き込んでゆく。
しばらくして、あらかたそれを終わらせてしまった彼は手を叩いて近侍を呼んだ。
「お呼びでございますか、我が君」
「宮中の主だった者は残っておるか」
「はい。皆明日の視察の準備をしております」
それを聞いて、立ち上がる。
「その進み具合と、確認したいことがある。大臣と、王都武官の統括部長たちを集めよ。そうだな、二ノ談部屋で良い」
「かしこまりましてございます」
近侍が退出するのを見送ってから、執政の間を出て、談部屋と言う名の会議室へ向かう。
近衛を従え大股で歩いていると、無表情なその紫の瞳に、茶色と青色の髪の若い女官が、膳を入れて運ぶ木箱をいくつか持って、公宮の女官の詰め所の方に向かって歩いていくのが映った。
「………」
自分が深宮にいないのだから、この時間に宮中で食事を出すとしたら、あとは一カ所しかない。
深宮に帰る気になれずに、夕方から王は公宮にいた。
執政の間で、届いたばかりの、本来ならば明後日に処理されるはずだった請願書に目を通していた。
いきなりのことだったから、執政補佐官たちもほとんど帰宅してしまった後だった。
なので自ら筆を取り、赤い墨で指示を書き込んでゆく。
しばらくして、あらかたそれを終わらせてしまった彼は手を叩いて近侍を呼んだ。
「お呼びでございますか、我が君」
「宮中の主だった者は残っておるか」
「はい。皆明日の視察の準備をしております」
それを聞いて、立ち上がる。
「その進み具合と、確認したいことがある。大臣と、王都武官の統括部長たちを集めよ。そうだな、二ノ談部屋で良い」
「かしこまりましてございます」
近侍が退出するのを見送ってから、執政の間を出て、談部屋と言う名の会議室へ向かう。
近衛を従え大股で歩いていると、無表情なその紫の瞳に、茶色と青色の髪の若い女官が、膳を入れて運ぶ木箱をいくつか持って、公宮の女官の詰め所の方に向かって歩いていくのが映った。
「………」
自分が深宮にいないのだから、この時間に宮中で食事を出すとしたら、あとは一カ所しかない。
