デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「あ…あの…」

険悪な空気に耐えられず、おずおずとシュリの赤髪の後頭部に声をかける。

わずかに茶色の瞳をこちらに向ける、目の前のイケメン。

「あの…すみませんでした。つい、恥ずかしくて…でも、ありがとうございます。本当に」

感謝と謝罪を分かってほしくて、何度も頭を下げる。

緊張と不安に揺れる黒い瞳。

それを見て、シュリはふう、と息を吐いてほほ笑んだ。

『なんだ?別にお前に怒ってたわけじゃねーぞ。怖がらなくていい。…あのイヤミサディスト野郎が妙なこと言ったからだ』

そのサディスト野郎は、素知らぬ顔で薬湯をカップに注いでいる。

そっと桜の体を反対側へ向け、傷薬を塗るよううながした。

少しホッとして、モソモソとマントの中で傷薬を塗る桜。

塗り終わったころに、アスナイがカップを手にやってきた。