デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「女だ、女」

「へ?」

ふっと笑って肩をすくめた。

「付き合ってる女だったり、商売女だったりを宿舎には入れられねえんだよ。風紀の乱れになるからな」

「あ……なるほど」

納得。

「でもよ、懲りずに連れ込む奴がいるんだよ」

くくっと笑う。

「ええ?お…怒られますよね」

「おう、バレたら何ヶ月か減給の上に一番キツい仕事に回される」

「はあ……上司に見つかったら大変なんだ」

「いや、それがそーじゃねえんだ。一番コワい存在なのがよ……」

シュリも何かやらかしたことがあるのか、桜に顔を寄せてゴクリと生唾を飲み込んだ。

「宿舎の飯炊きババアだよ」

「え?ごはん作ってくれる方ですか?」

うなずいて、眉間にシワを寄せ、真剣な表情で腕を組む。

「あいつら、一体どこで見てんのか知らねえけど、どんなにコッソリ俺らが悪事を働いても、怖ろしい精度で武官長にチクりやがるんだよ。俺の同僚も、夜中に商売女を連れ込んで、コトが終わった2時間後には武官長室に呼び出し食らってた」

「ふふっ……」

「ほんと、あのババアなら、どんな隠密活動もお手の物だろうぜ。飯炊き女ってのは世を忍ぶ仮の姿で、その実体は凄腕の諜報部員だな、あれは」

うん、と真面目にうなずいたシュリの表情が面白くて、桜は思わず声を上げて笑った。