デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「こちらでございます」

アラエがうやうやしく、客用の宮の入口へとシュリを導いた。

少し廊下を進んで、桜の部屋の前まで来る。

静かに戸を叩くと、「はい」と声がした。

「桜様、失礼いたします。我が君のお許しにより、王都武官のシュリ殿がお見えです」

そう言って戸を開けると、すぐに笑顔の桜が戸口にやってきた。

「シュリさん……!」

「おう、桜!」

シュリも陽のように笑い、桜をボフ、と抱きしめたかと思うと、また抱き上げてくるりと一回転した。

「わあぁ!重いですってば、シュリさん!」

早速の大きな行動に、あわてて足を下ろした。

「分かんねえって、そんなの。普段お前より重いもんなんかいくらでも運ばされてるんだぜ」

からっと笑いながら、くしゃ、と黒髪をなでた後、そっとその手を自分を見上げる桜の顔に添えた。

「あれ?」

ふと気づく。

「どうしました、シュリさん?」

「いや……お前、泣いてたのか?」

「えっ」

驚く桜の頬を、長いがしなやかな指先がなぞった。

「涙の跡がある。……こっちにも。どうしたんだよ」

「…………」