デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

シュリが夕日に照らされた公宮の入り口に来たとき、赤銅色の瞳に、黄緑色の髪の文官がこちらを見ながら静かにたたずんでいた。

「?」

眉根を寄せるシュリに小さく微笑んで、一礼した。

「我が君から、案内を仰せつかっております」

「……ああ」

カリカリと後頭部をかきながら、アラエの後について歩き出す。

公宮の中は、いつもよりもずっと慌ただしく、まるで午前中のようだ。

「何か、あるのか?」

自分の前を行く文官に尋ねると、ニッコリと微笑みを深くして顔を横に振った。

「いえ……まだ皆残務が終わりませぬゆえ」

相変わらず、読めない奴らばかりだ。息をするように嘘をつく。

シュリはますます顔をしかめた。

あまり王宮は得意な場所じゃない。

王都武官になったからには、王宮付、さらには近衛になるのが目標とされているのだが、シュリは自分の性格との違和感を常々感じていた。

込み入った通路を進んで、ようやく公宮の裏口に出る。

ここから先は初めて入る場所だ。そしておそらくもう入ることもない。

広大な庭を一直線に走る渡り廊下に目を丸くしながら、夕日のオレンジに染まりながら、長い影を引いて客用の宮へと向かった。