デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

王様に、好きな人に抱きしめられている。

それだけで、もう胸が破れそうだった。

堪らず身を起こそうとするが、グッと腕に力が込められ叶わなかった。

真っ赤になりながら、王の上衣のままの胸を軽く何度か叩いた。

「放して、王様……」

言いながら、身をよじって距離を取ろうとする。

その様子に、その美しい顔を歪めた。

「決めたのか?」

「えっ?」

「そなたの心を誰に捧げるか。もう決めたのか」

「!」

動揺して、口を半開きにしながら目線を泳がせる。

耳たぶまで染まっていた。

黒い瞳が潤んで揺れる様が可憐で、胸が痛んだ。

「……誰だ?」

「あ……」

両手で顔を持ち上げられ、桜はますます赤面する。

……言ってしまおうか。

こんな表情で、自分に小さく聞くこの人を見ていたら、そう思ってしまう。

(でもダメだ。ちゃんと、シュリさんとアスナイさんにお返事してからって決めたんだから)

自分の幸せを選ぶのは、二人の気持ちに答えを渡してからだ。