デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜がふっと目を覚ますと、少し傾きかけた日の光が、部屋には差し込んでいた。

「………」

ああ…いけない、寝ちゃったと思い、もそ、と身を起こすと、自分の膝のあたりでソファに背をもたせ掛け、床に座る王の後ろ姿が目に入った。

「えっ……ええっ!?」

飛び上がる桜を、読んでいた書物から顔を上げて見る。

「えっ?王様!?こ、ここ私の部屋……えっ、いつから?」

まだ完全には覚めきらない頭で混乱していた。

そんな彼女を見て、書物を閉じ小さく笑う。

「よく寝ていたのでな。起こすのが忍びなかった」

「あ……す、すみません」

恥ずかしさに少し頬を染めて、あわてて身を起こしてソファに座り直した。
ポンポンとソファのシワを伸ばしながら、よだれとかつけてないよね……と一生懸命に確認する桜を、紫の瞳がじっと見据えた。

「……さく」
「でも、どうして私の部屋に?深宮に呼んでいただければ、私が行くのに」

さっきのあの時間から、胸に渦巻く疑問を口にする前に、桜が質問を投げた。

「時間が惜しくてな。早くそなたに会いたかった」

その言葉に、一瞬動きを止めて、少し顔を伏せた。その下で、ポッとわずかに頬を染めた。