王が公宮の裏口に来たのが見え、アラエはタイミングを見計らって王の前で礼をした。
「我が君、ご客人とお会いになられますか」
「ああ」
軽くうなずきながら階段を降り、渡り廊下に降り立った。
「では、我が君のお食事が終わられましてから、深宮へお連れします」
そう言ったとき、初めて王が彼を振り向いた。
「いや、その必要はない。汝は公宮にて残務をこなせ」
「は……」
意外な言葉に、目を丸くする。
「ではな」
少し微笑んで、歩き去った。
アラエはしばらくその場に立ったあと、自分の仕事部屋へと足を向ける。
あの娘と連れ立って深宮に行くことは今日は無いわけだ。
ホッとした。
訳の分からない言動にいちいち動揺しなくて済む。
さっきだって、なぜあの状況下で礼を言われたのか。
自分の素が見えたようだと、嬉しそうに笑っていた。
カナンとも、なんの打算もなく仲良くしていたと言っていた。嘘だと思ったが、どうやら本当のようだ。
また、羨ましいという感情が湧きおこった。
――馬鹿か。異世界人で、何にも持たない醜い女だぞ。
一つ頭を振って、大股で歩く。
だが、ありがとうございますと言われたときの、あの笑顔を思い出された。
ふとその目線が柔らかく緩み、思わず足を止めそうになって、あわてて前を向いた。
「我が君、ご客人とお会いになられますか」
「ああ」
軽くうなずきながら階段を降り、渡り廊下に降り立った。
「では、我が君のお食事が終わられましてから、深宮へお連れします」
そう言ったとき、初めて王が彼を振り向いた。
「いや、その必要はない。汝は公宮にて残務をこなせ」
「は……」
意外な言葉に、目を丸くする。
「ではな」
少し微笑んで、歩き去った。
アラエはしばらくその場に立ったあと、自分の仕事部屋へと足を向ける。
あの娘と連れ立って深宮に行くことは今日は無いわけだ。
ホッとした。
訳の分からない言動にいちいち動揺しなくて済む。
さっきだって、なぜあの状況下で礼を言われたのか。
自分の素が見えたようだと、嬉しそうに笑っていた。
カナンとも、なんの打算もなく仲良くしていたと言っていた。嘘だと思ったが、どうやら本当のようだ。
また、羨ましいという感情が湧きおこった。
――馬鹿か。異世界人で、何にも持たない醜い女だぞ。
一つ頭を振って、大股で歩く。
だが、ありがとうございますと言われたときの、あの笑顔を思い出された。
ふとその目線が柔らかく緩み、思わず足を止めそうになって、あわてて前を向いた。
