デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その頃王は執政の間にいた。

同席しているのは宮中の文官たちを束ねる二人の重鎮の大臣と、武官を統括する一ノ所の各部署の統括長だ。

面々が揃ったところで、王は口を開いた。

「明日、王都の視察を行う。王の外出の準備を整えさせよ」

その言葉に、彼らは背筋を正した。

少しの沈黙の後、大臣の一人が口を開く。

「…我が君。今一度、お考え直しのほどを」

「ならん」

有無を言わさぬ口調で、却下した。

「汝らに相談しているのではない。これは命令だ。各々、準備を整えよ」

やむなく、彼らは礼をした。


彼らを退出させたあと、やれやれと首を回す。

やっと今日の仕事が終わった。だが明日は外出だから、明日のぶんの請願書や謁見は明後日以降に回されることになる。

なるべく早く仕事を終わらせても、きっといつもの時間には終わるまい。
 
(………おのれ)

うんざりして舌打ちした。

早く桜と会おう。あの娘との優しい時間を早く。

そうでなくたって、夕方からはシュリとの面会を許さなくてはならないのだ。

そう思い、急いで立ち上がった。