謁見の真っ最中の王は、いつものように静かな表情で、目の前にひざまずく遠方からの使者を見つめた。
「恐れながら我が君、先だっての雨で、老朽化していた堤防が決壊してしまい……周辺の家々に被害が出ております。武官様方が尽力しておられますが、復旧も追いつかない状況でして……」
疲れの見える表情で訴える中年の男性に即座にうなずき、気品のある微笑みを浮かべた。
「相分かった。すぐに復旧のための人間と物資、それから医師を向かわせよう。追って弔慰金も出すゆえ、被害にあった者たちに相応に分け与えるよう、武官長に通達を出す」
「ありがとうございます」
ホッとして、彼は床に額をつける。
「遠路はるばる大儀であった。今日はゆっくり休み、明日故郷へ立つが良い」
そう言って文官の一人を見て、このあとの手続きと、宿の手配を目で指示する。
使者が退出し、戸が閉じられた。
すぐに次の者を通すよう手を上げる。
「失礼いたします」
若い男の声がし、赤髪の武官が入ってきた。
(シュリ……)
先ほどの静かで余裕のある表情から一転、王は頬を強張らせた。
ただ、ほんのわずかの変化なので、それに気付く人間はまずいない。そうでなくとも、王の顔を近くで直視することなど、滅多にない。
「我が君、赴任地の内情報告にまかり越してございます」
深く礼をして、報告を始めた。
「恐れながら我が君、先だっての雨で、老朽化していた堤防が決壊してしまい……周辺の家々に被害が出ております。武官様方が尽力しておられますが、復旧も追いつかない状況でして……」
疲れの見える表情で訴える中年の男性に即座にうなずき、気品のある微笑みを浮かべた。
「相分かった。すぐに復旧のための人間と物資、それから医師を向かわせよう。追って弔慰金も出すゆえ、被害にあった者たちに相応に分け与えるよう、武官長に通達を出す」
「ありがとうございます」
ホッとして、彼は床に額をつける。
「遠路はるばる大儀であった。今日はゆっくり休み、明日故郷へ立つが良い」
そう言って文官の一人を見て、このあとの手続きと、宿の手配を目で指示する。
使者が退出し、戸が閉じられた。
すぐに次の者を通すよう手を上げる。
「失礼いたします」
若い男の声がし、赤髪の武官が入ってきた。
(シュリ……)
先ほどの静かで余裕のある表情から一転、王は頬を強張らせた。
ただ、ほんのわずかの変化なので、それに気付く人間はまずいない。そうでなくとも、王の顔を近くで直視することなど、滅多にない。
「我が君、赴任地の内情報告にまかり越してございます」
深く礼をして、報告を始めた。
