朝風呂に入り、ワンピースに着替えた桜はふと、ソファの前の台に目を留めた。

四つ折りになった白い紙が置かれていた。

(……やってみようかな)

あのかわいい白い鳥の魔法を使いたくて、そっとそれを取り上げた。

カサ、と開いて、声をかける。

「えと……エヴァさん、おはようございます。昨日はありがとうございました。王様に迎えに来てもらいましたよ。
あと、ええと…そうだ、エヴァさん、もうすぐ誕生日なんですよね。いつですか?分化って、すぐ始まるんですか?また、時間のあるときにお返事ください」

ふうっ。

息をかけると、すぐに紙は昨日の白い小鳥になった。

ちょん、と桜の人差し指にとまったかと思うと、すぐに翼を広げて、障子の隙間から外へ羽ばたいていく。

「わあ……すごいなあ、ほんと」

瞳を輝かせてその姿を追ったあと、微笑んだ。

ちょうどそのタイミングで戸が叩かれ、フラウとルネが朝食を持ってきた。

「おはようございます、桜様。朝餉でございます」

「ありがとうございます」

軽く頭を下げて、ソファに座った。