デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「え…あ……」

あの人の微笑みや、すねたような睨み顔を思い出してボフっと耳まで赤くなった。

「あの……あの、ええと…………はい」

うつむいて、黒い瞳を潤ませて小さくうなずいた。

エヴァはそれを見て、少し唇を噛んで「そうですか…」と言った。


「もっと早く、あなたをこの宮に呼べばよかった」


低くかすれたような声に少し驚いて、桜がその顔を覗き込む。

だがそのときにはもう、変わらない美しい微笑みを浮かべていた。

「桜さん。さっき言いかけたのですが……お願いがあるんです」

アイスブルーの瞳を優しく細めて、小首をかしげた。

「お願い?」

「はい。ちょっと…かなり、情けないお願いなんですが」

「はい」

「もうしばらくしたら、私は『分化』を迎えると思います」

「ええ」