デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜がそう言うと、神児は微笑んで言った。

「神の声を聞くには、静かに、汚れなくあることが大事ですから」

「はー……」

「生まれたときからずっとこうですから、私にとってはこれが普通なんです」

「そうなんですか……ずっとこちらで生まれ育ったんですか?」

桜の問いに、うなずいた。

「はい。そして私の命が尽きる日まで、ここで過ごします」

桜は驚く。

「え……外出はされないんですか」

「ええ。外の穢れをこの身につけるわけにはいきませんから」

「…………」

「私は神児ですから。当然のことですよ。私の母も、そのまた父もそうでした」

真っ白な空間と、差し色のような緋色と、時々見上げる空の青。

それが神児の世界の色彩の全てだ。

……可哀想だと思うのは傲慢だろう。この人は世界でかけがえのない存在なのだから。

でも………。

「神児さん、あの…良かったら私の世界の事を少しお話しましょうか」

桜がそう提案すると、大きな瞳を丸くした。

「え?」

「ええと…せっかくお招きして下さったから、私も何か神児さんにお礼ができればいいんですけど、私何にも持ってないから……せめて、ここではない世界のお話なんて、いかがですか」