遅れちゃいますよ、行きましょうかとうながして歩き始める桜を、後ろから困惑したように瞬きして見た。
(我が君の仰る通り、妙な娘だ)
あまりにも無防備で、それに全然気づいていない。
これでは宮中で、あっという間に食い物にされそうだ。
(だから、今までほとんど公宮へ連れていらっしゃらなかったのか?しかし、なぜこんな醜く、さして取り柄もなさそうな女にそこまでのお心遣いを……)
少し探るような瞳を細め、アラエは彼女の後ろ姿を見る。
と、いきなり桜が振り向いた。
その真っ直ぐな視線に、ギクリと身が震えた。
「アラエさん?どうしました?遅れますよ」
「あ……も…申し訳ございません……」
あわてて頭を下げ、歩き出した。
ふと、また桜がおかしそうに笑った。
「頭を下げてばっかりですね、アラエさん。昨日も言いましたけど、あまりそうされると困るんで普通にしててください」
「あ……左様でございました。お言いつけを失念して、申し訳……」
小さな動揺のまま、また礼をしようとする。
今度は思わず声を上げて笑った。
「ほら、また!」
その笑い声に、思わずまじまじと白い顔を見つめた。
……屈託のない笑い顔を見たのは、いつぶりだろう。
そう思いながら。
(我が君の仰る通り、妙な娘だ)
あまりにも無防備で、それに全然気づいていない。
これでは宮中で、あっという間に食い物にされそうだ。
(だから、今までほとんど公宮へ連れていらっしゃらなかったのか?しかし、なぜこんな醜く、さして取り柄もなさそうな女にそこまでのお心遣いを……)
少し探るような瞳を細め、アラエは彼女の後ろ姿を見る。
と、いきなり桜が振り向いた。
その真っ直ぐな視線に、ギクリと身が震えた。
「アラエさん?どうしました?遅れますよ」
「あ……も…申し訳ございません……」
あわてて頭を下げ、歩き出した。
ふと、また桜がおかしそうに笑った。
「頭を下げてばっかりですね、アラエさん。昨日も言いましたけど、あまりそうされると困るんで普通にしててください」
「あ……左様でございました。お言いつけを失念して、申し訳……」
小さな動揺のまま、また礼をしようとする。
今度は思わず声を上げて笑った。
「ほら、また!」
その笑い声に、思わずまじまじと白い顔を見つめた。
……屈託のない笑い顔を見たのは、いつぶりだろう。
そう思いながら。
