「公宮に行かれるんじゃなかったんですね。……じゃ、どこに?だってもう、その格好で行くとしたらあとは客用の宮しか」
言ってから、あ、と気づいた。
「…もしかして、私の部屋に?」
思わず顔の赤みを強くする相手につられて、桜も赤面する。
「今日も明日も、そなたと少しも話ができないのは……やはり嫌だ。だから……」
「……私が帰ってくるの、待っててくださろうとしたんですか」
ますます顔を染めながら、恥ずかしさに顔をしかめてガシガシと乱暴にその美しい髪を乱した。
じろっと紫の瞳が桜を睨んだ。
「……まったくな。何という体たらくかと自分でも思う。この私が、女の帰りを部屋の前で待つなど」
とても臣下には見せられぬわ、と小さく呟いて横を向いた。
(…………)
そのあまりに人間くさい表情に、心臓が早鐘をうつ。
(どうしよう………。カナンと、あんな事があったばかりなのに。まだ、シュリさんとアスナイさんにも返事をしてないのに)
すごく、嬉しい。そう思ってしまう。
だから、少しだけ自分も勇気を。
「……私も、同じです」
「ん?」
「あの……少しでも、王様とお話したかったから……深宮に行こうとしてたんです」
耳まで赤くしてうつむく桜を、王は驚いて見つめた。
広い庭に、風がまた吹いた。
それがあまりに静かで穏やかだったから、誰もいない渡り廊下で、まるで世界に自分たちだけになったような感覚になる。
そのまましばらく二人、向かい合っていた。
言ってから、あ、と気づいた。
「…もしかして、私の部屋に?」
思わず顔の赤みを強くする相手につられて、桜も赤面する。
「今日も明日も、そなたと少しも話ができないのは……やはり嫌だ。だから……」
「……私が帰ってくるの、待っててくださろうとしたんですか」
ますます顔を染めながら、恥ずかしさに顔をしかめてガシガシと乱暴にその美しい髪を乱した。
じろっと紫の瞳が桜を睨んだ。
「……まったくな。何という体たらくかと自分でも思う。この私が、女の帰りを部屋の前で待つなど」
とても臣下には見せられぬわ、と小さく呟いて横を向いた。
(…………)
そのあまりに人間くさい表情に、心臓が早鐘をうつ。
(どうしよう………。カナンと、あんな事があったばかりなのに。まだ、シュリさんとアスナイさんにも返事をしてないのに)
すごく、嬉しい。そう思ってしまう。
だから、少しだけ自分も勇気を。
「……私も、同じです」
「ん?」
「あの……少しでも、王様とお話したかったから……深宮に行こうとしてたんです」
耳まで赤くしてうつむく桜を、王は驚いて見つめた。
広い庭に、風がまた吹いた。
それがあまりに静かで穏やかだったから、誰もいない渡り廊下で、まるで世界に自分たちだけになったような感覚になる。
そのまましばらく二人、向かい合っていた。
