渡り廊下を中ほどまで進んだあたりで、桜は瞬きした。
「………あれ?」
視力のいい彼女の目が、前の方から――つまり、深宮の方から歩いてくる人影を見つけた。
向こうもほぼ同時に桜に気づいたらしく、一度足を止めて、また真っ直ぐにこちらへ歩いてくる。
緩く一つに結われた、藍色の髪。
簡素な服の上からでも分かる、抜群に均整の取れたスタイル。
そして、少し驚きに開かれた紫の目が、間もなくして桜の目の前に来た。
「王様……?」
「………桜」
お互いに、目を丸くして向かい合った。
「何をしている?……カナンと話をしているのではなかったか」
「それは……もうさっき出来ました。王様こそ、どうして?」
桜が聞くと、わずかに目元を染めて、「いや……」と口ごもった。
「公宮に行かれる途中だったんですか?」
「………」
「……ん?あ、違うか」
お忍びで街に出たとき、公宮に行くとき、確かわざわざ女官を呼んで『この格好では公宮に相応しくないゆえ、王の上衣を持て』と言っていたはずだ。
でも、今のこの服はあの豪華な上衣ではなく、彼がくつろぐ時のものだ。
ということは、公宮に行こうとしていたわけではないらしい。
「………あれ?」
視力のいい彼女の目が、前の方から――つまり、深宮の方から歩いてくる人影を見つけた。
向こうもほぼ同時に桜に気づいたらしく、一度足を止めて、また真っ直ぐにこちらへ歩いてくる。
緩く一つに結われた、藍色の髪。
簡素な服の上からでも分かる、抜群に均整の取れたスタイル。
そして、少し驚きに開かれた紫の目が、間もなくして桜の目の前に来た。
「王様……?」
「………桜」
お互いに、目を丸くして向かい合った。
「何をしている?……カナンと話をしているのではなかったか」
「それは……もうさっき出来ました。王様こそ、どうして?」
桜が聞くと、わずかに目元を染めて、「いや……」と口ごもった。
「公宮に行かれる途中だったんですか?」
「………」
「……ん?あ、違うか」
お忍びで街に出たとき、公宮に行くとき、確かわざわざ女官を呼んで『この格好では公宮に相応しくないゆえ、王の上衣を持て』と言っていたはずだ。
でも、今のこの服はあの豪華な上衣ではなく、彼がくつろぐ時のものだ。
ということは、公宮に行こうとしていたわけではないらしい。
