デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜はその頃、部屋に戻ってからしばらくずっとウロウロしていた。

少し顔を赤くして、うんうん唸っている。

(深宮に戻ろうかなあ。でも何か、恥ずかしいなあ……)

頭の中でシュミレートする。

『王様、カナンに会ってきました!かわいい女の子と、幸せになれそうでした。寂しいけれど、良かったです!』

『そうか。……しかし、休みをやったのだ、別に戻ってこなくても良かったものを。そなた、他にすることがないのか』

(………なんて、あのきれいな真顔で言われたら……)


すんごい恥ずかしい。

(でも、明日はまる一日会わないんだよなあ、王様と)

またウダウダと頭を抱えた。

しばらく、パグが渋柿を食べたような形相で悩んでいたが。

ごく、という喉の音とともに、彼女にしては積極的な判断をした。

サンダルを履いて、渡り廊下に出た。

少し日が傾きかけた午後の、優しい風を受けながら深宮に向かって歩き始めた。