デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

厩舎について、皆それぞれの愛馬を繋ぎ、手入れを始める。

「でもよ、アスナイは今頃毎日好きな女に会えてるかもな」

別の武官が、馬の蹄を丁寧に洗ってやりながらなんの気なしに言った。

「!?」

ぎょっとしてシュリはそちらを振り向いた。

「なっ、どっ、どういうことだよ!?」

その剣幕に、愛馬のリーが小さくいなないて足を踏み鳴らした。

同僚は、何のことはないとばかりに言う。

「いやだってよ、あいつ確か、あの駐屯地の『例のメンバー』だったはずだぞ」

「…………」

「だから、今毎日王都にいるはずだろ」

リーの体を拭いてやりながら、シュリはぐるぐると考えた。

あいつ『例のメンバー』に選ばれたか志願したのか。

確かにそれなら今は王都に滞在しているはずだ。

しかし、王宮にいるわけではないし、仕事は仕事だから、桜に毎日会ってるなんてことはないはずだが。

しかし、褒賞によって休日に桜には会えるわけだし、何より時間の制約がぐっと緩まる。馬を飛ばして数時間の往復がないのだから。

(あいつが抜け目ないのか、俺がバカなのか)

多分どっちもだ。

がくっ、と愛馬の腹に額をついた。