「でもお前が来て、私と屈託なく話してくれて……楽しかった。過去は過去だと、人間って捨てたもんじゃないって、思ったんだ」
そっと、その右手が左の二の腕をつかんだ。真っ直ぐに桜を見て、また笑う。
「お前のおかげだ」
「私……?」
カナンはうなずいた。
「お前が、過去は過去だと私に思わせてくれたんだ。だから、だんだんと他の人間とも……それが若い女であっても、あまり抵抗なく話せるようになった」
「………」
「お前みたいな奴、初めてだったからな。好きだと思ってた。だけど」
グッ、と右手に力を込める。これから嘘をつく苦しさに。
「………可愛いと、思う女ができたんだ」
「カナン……」
黒の瞳が、驚いたように見開かれた。
「戸惑ったさ。私はお前が好きで、他の女なんか好きにならないって思ってたから。それに今も言ったように、他の人間と話せるようになったのは、お前がいてこそだったから、お前の手を放すのが怖かったんだ」
「そう……」
「だから、不安で。そのあまりに昨日みたいな真似をしてしまった。でも冷静になって考えてみたら……」
「……その子のほうが、好きになってるって、思ったの?」
そっと、その右手が左の二の腕をつかんだ。真っ直ぐに桜を見て、また笑う。
「お前のおかげだ」
「私……?」
カナンはうなずいた。
「お前が、過去は過去だと私に思わせてくれたんだ。だから、だんだんと他の人間とも……それが若い女であっても、あまり抵抗なく話せるようになった」
「………」
「お前みたいな奴、初めてだったからな。好きだと思ってた。だけど」
グッ、と右手に力を込める。これから嘘をつく苦しさに。
「………可愛いと、思う女ができたんだ」
「カナン……」
黒の瞳が、驚いたように見開かれた。
「戸惑ったさ。私はお前が好きで、他の女なんか好きにならないって思ってたから。それに今も言ったように、他の人間と話せるようになったのは、お前がいてこそだったから、お前の手を放すのが怖かったんだ」
「そう……」
「だから、不安で。そのあまりに昨日みたいな真似をしてしまった。でも冷静になって考えてみたら……」
「……その子のほうが、好きになってるって、思ったの?」
