少しの間があって、
「……どうぞ」
あの声が、静かに返事をした。
(いつもと逆だな)
そんな事を考えながら、ドアを開けた。
こちらに背を向けて、広い机に向かっている。
何かの書類だろうか、紙が束になってその傍らに置かれていた。
机のそばには小さな台があって、水差しとグラスがある。
殺風景と言っていいほどの、シンプルな部屋だった。
ふと、カナンの住む部屋もこうなのかもしれないと思った。多くを求めず、必要最低限の物しか置かない空間。
そんな人が、どれほどの思いで自分を欲したか。それを考えると、また胸が痛む。
「…カナン」
そっと呼ばわる。
瞬間、弾かれたように金髪が揺れて、驚愕の表情でこちらを振り向いた。
「桜……」
思わず立ち上がって、固まっている。
「ごめんね、いきなり…お仕事の邪魔だとは思ったんだけど」
少しうつむいて、もじもじと手を揉む彼女を、まだ驚きに見開かれた目が見つめた。
そして、少しずつそれが切なく細められてゆく。
思い知らされる。
ああ、やっぱり愛している………。
「……どうぞ」
あの声が、静かに返事をした。
(いつもと逆だな)
そんな事を考えながら、ドアを開けた。
こちらに背を向けて、広い机に向かっている。
何かの書類だろうか、紙が束になってその傍らに置かれていた。
机のそばには小さな台があって、水差しとグラスがある。
殺風景と言っていいほどの、シンプルな部屋だった。
ふと、カナンの住む部屋もこうなのかもしれないと思った。多くを求めず、必要最低限の物しか置かない空間。
そんな人が、どれほどの思いで自分を欲したか。それを考えると、また胸が痛む。
「…カナン」
そっと呼ばわる。
瞬間、弾かれたように金髪が揺れて、驚愕の表情でこちらを振り向いた。
「桜……」
思わず立ち上がって、固まっている。
「ごめんね、いきなり…お仕事の邪魔だとは思ったんだけど」
少しうつむいて、もじもじと手を揉む彼女を、まだ驚きに見開かれた目が見つめた。
そして、少しずつそれが切なく細められてゆく。
思い知らされる。
ああ、やっぱり愛している………。
