デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ぱっと、王の方を向いた。

「王様、お願いがあります。今日だけは、今からカナンのところに行かせてくれませんか」

手を体の前で組んで、桜は懇願する。

「行ってどうする。カナンはそなたをあきらめた。もう終わったのだ。それが分からぬのか」

静かに、しかし冷たく言われ、口ごもった。

「……それは…分かります。でも、お別れなら、終わりなら、ちゃんとカナンと直接会いたいんです。嘘をつかれたまま、王様からの又聞きで終わるなんて嫌なんです。どんな言葉でもいいから、カナンの嘘のない言葉が聞きたい。最後なら、なおさら」

言い募る桜に、ふぅっ、と小さく息をついた。

「……やはりな」

「え?」

「いや……」

思ったとおりの桜の反応に、あきらめたように小さく苦笑いした。

「良いだろう。そなたがそんなに懇願するのなら……私とて一蹴できない。あれと、そなたの仲の良さは痛いほどよく分かっているしな」

ホッと笑う彼女の頬をスル、となでる。

「ありがとうございます、王様。その代わり、あの……明日は、たくさんお話、しましょう」