この新しい連絡係の近侍には悪かったが、桜は深宮までの渡り廊下を歩いている間中、ずっと上の空だった。
「恐れながら、我が君のご客人は黒髪黒い瞳という噂は聞いていたのですが、実際こうしてお会いするまで半信半疑でございました」
先に立って歩くアラエが、微笑みながら桜を振り返り話す。
「ええ…そうですか……」
「桜様は今まで公宮にいらした事は、あまりあられなかったとか……ふふ、お会い出来て嬉しゅうございます。後で同僚に自慢致します」
にこにこと、心底嬉しそうな顔で、声も弾んでいた。
「あ、そうですね……はい……」
「桜様?」
はっ。
目を丸くするアラエに、我に返った。
「あっ……す、すみません、何でしたっけ……」
慌てて小さく言うと、フッと苦笑いが返ってきた。
「……お気になられますか、カナンの事が」
「ええ……」
「見る限り、いつもと変わりのない様子でございましたよ」
「そう、ですか…」
桜が呟くと、アラエは足を止め、体ごと桜に向き直った。
「カナンは幸せ者でございますね。一臣下にもかかわらず、桜様に……王の客人にそこまで気にかけていただけるとは」
「………」
幸せ者どころか、失望に突き落としたのは自分なのだ。そう思って、桜は顔をしかめた。
「なれど、桜様。カナンはあくまで近侍でございます。お役目が変わることは、よくあることです。どうか、お心安く」
事情を知らないであろうアラエがそう言いながら歩くうちに、深宮に到着した。
「恐れながら、我が君のご客人は黒髪黒い瞳という噂は聞いていたのですが、実際こうしてお会いするまで半信半疑でございました」
先に立って歩くアラエが、微笑みながら桜を振り返り話す。
「ええ…そうですか……」
「桜様は今まで公宮にいらした事は、あまりあられなかったとか……ふふ、お会い出来て嬉しゅうございます。後で同僚に自慢致します」
にこにこと、心底嬉しそうな顔で、声も弾んでいた。
「あ、そうですね……はい……」
「桜様?」
はっ。
目を丸くするアラエに、我に返った。
「あっ……す、すみません、何でしたっけ……」
慌てて小さく言うと、フッと苦笑いが返ってきた。
「……お気になられますか、カナンの事が」
「ええ……」
「見る限り、いつもと変わりのない様子でございましたよ」
「そう、ですか…」
桜が呟くと、アラエは足を止め、体ごと桜に向き直った。
「カナンは幸せ者でございますね。一臣下にもかかわらず、桜様に……王の客人にそこまで気にかけていただけるとは」
「………」
幸せ者どころか、失望に突き落としたのは自分なのだ。そう思って、桜は顔をしかめた。
「なれど、桜様。カナンはあくまで近侍でございます。お役目が変わることは、よくあることです。どうか、お心安く」
事情を知らないであろうアラエがそう言いながら歩くうちに、深宮に到着した。
