デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

あとはまあ、内乱が起こらないよう、せいぜい祈るばかりだ。

公宮にカンヅメなんて、御免だ。

手を外し、一つ頷いて、使者へ微笑みを向けた。

「ご苦労だった、ご使者」

「王。恐れいりまする、神児様よりのお言付けを承ってございます」

その言葉に、はっと先日言われた事を思い出した。

神児が、桜に会いたいと言っていると。

「言うがよい」

「先日申し上げた、異世界の者の事でございます。明日、神児様が神宮にてお会いしたいとの仰せでございまする。何卒、お聞き入れ下さりますよう」

深く礼をしながら、低い声で言う。

「………分かった。明日の午後でよいか」

「いえ、恐れながら、明日のこの謁見が終わられましてから、私めと共にお遣わし下さりませ」

思わず、眉をひそめた。

では、朝からまる一日か。慣れぬ場所に不安だろうに、一人で長い時間行かせたくはないのだが。

が、神児はこの世で唯一、自分と並び立つ者だ。仕方がない。

「…良かろう。だが、あれは予の客人だ。その事をよくわきまえるように」

そう、釘をさした。