たった今、最後の請願の者が退出した謁見の間で、長い脚を組み換えながら、王は少し顔をしかめて、ふぅっと息をついた。
「我が君、神宮からのご使者をお呼びしてもよろしゅうございますか」
また別の近侍に、頷いた。
「ああ」
ぱたん、と戸が閉じられ、束の間静かになる。
(馬鹿者が)
厳しい表情のまま、自分の後ろに近衛や同僚たちと静かにたたずむカナンに心の中で言った。
(人は誰しも、大なり小なり汚れを抱いて生きているものだ。お前だけが汚れているわけではない。真にお前が卑しい人間なら、私の近侍になどするわけがないだろうが)
臣下を思う主君の顔で、薄く目を閉じた。
(……私が、お前をどれほど羨んでいたか。あの娘と、あそこまで屈託なく、対等にいられるお前を。私には絶対にできないことも、お前なら苦もなくできることも多いはず。それを、なぜ自ら投げ捨てるような真似をするのだ)
正直、カナンが桜をあきらめるという事にホッとしている自分がいる。だが、同じくらいにもどかしかった。
しかし、しばらくして顔を真っ直ぐに戸に向ける。
(仕方がない。……桜は一人しかいない。私とて、あの娘を得たいのだ)
「我が君、神宮からのご使者をお呼びしてもよろしゅうございますか」
また別の近侍に、頷いた。
「ああ」
ぱたん、と戸が閉じられ、束の間静かになる。
(馬鹿者が)
厳しい表情のまま、自分の後ろに近衛や同僚たちと静かにたたずむカナンに心の中で言った。
(人は誰しも、大なり小なり汚れを抱いて生きているものだ。お前だけが汚れているわけではない。真にお前が卑しい人間なら、私の近侍になどするわけがないだろうが)
臣下を思う主君の顔で、薄く目を閉じた。
(……私が、お前をどれほど羨んでいたか。あの娘と、あそこまで屈託なく、対等にいられるお前を。私には絶対にできないことも、お前なら苦もなくできることも多いはず。それを、なぜ自ら投げ捨てるような真似をするのだ)
正直、カナンが桜をあきらめるという事にホッとしている自分がいる。だが、同じくらいにもどかしかった。
しかし、しばらくして顔を真っ直ぐに戸に向ける。
(仕方がない。……桜は一人しかいない。私とて、あの娘を得たいのだ)
