デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その頃、風呂から上がった桜は、困惑に眉をひそめて部屋を、特に寝台の周りをウロウロしていた。

「ええ?………おかしいな……」

シーツの上を叩いたり、掛ふとんをふるってみたり。はたまた、寝台の下を覗き込んでいる。

「ない………」

そっと、ワンピースの胸元に手をやった。

カナンに買ってもらった、あのペアネックレスの片割れが、いくら探してもないのだ。

もう一度寝台のサイドテーブルを見るが、何もない。

昨日は、つけていたはずだ。あの時のはずみでちぎれて、どこかに飛んでいったのかと思っているのだが。

(まさか、王様の部屋とか、渡り廊下に落としたのかな)

腕を組んで、片手を口元に当てながら考えた。

カナンの気持ちに応えられないから。だからこそ、自然に手放すその日まで、大切にしまっておこうと思ったのに。

昨日の彼の顔や眼差しを思い出し、少し泣き顔のように眉を下げて、なおも部屋中を一生懸命に探した。