デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

シャラ、と豪華な耳飾りが揺れた。

新しいブレスレットがあったのか、王は留金がなかなかとめられずに眉をしかめた顔のまま、深く頭を垂れてひざまずく金髪の近侍を見た。

「……話とは何だ、カナン」

控えの間での、謁見前の王の身支度の時間はそう長くはない。

「恐れながら我が君、お願いしたき儀がございます」と、処罰覚悟で言い出したが、ためらっている時間はなかった。

面を伏せたまま、引き結んでいた唇を開く。

「ご客人と、我が君との連絡係のお役目を、解いて頂きたく存じます」

「………」

パチン、とようやく留金が留まり、王はカナンの方へ向き直った。

「理由を聞こうか」

「わたくしの、無能さゆえでございます。……ご客人を客用の宮までお送りしたあと、限られた時間で残務を片付けるのが困難になってまいりました」

しばらく黙って、静かな瞳で若き近侍を見つめた。

「…そうか。まあ、役目自体は誰がなそうと構わぬ。汝はまだ近侍としては未熟だ。学ぶことも多かろうな。深宮にて、予を数時間待つのは負担であることは理解できる」

「…………」

「役目を解くのは造作もない。よかろう。今まで大儀であった」