デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

いつの間にか、桜はまぶたが重くなってきた。

お互い裸で抱き合っているなんて、いつもなら恥ずかしくてたまらないはずなのに、カナンの胸が温かくて、その手が優しくて。

「……眠れよ。それまでこうしているから……」

「ん……カナンは?外……雨降ってるでしょう?」

フワフワとし始めた意識の中で聞くと、

「大丈夫だ。じき止むはずだから」

「そ……う……」

安心したように、コトンと眠りにつく桜を、少し苦笑いして見つめた。

「……本当に、お前は私のことを信じ切ってるんだな」

今の今まで受けた仕打ちを、ころっと忘れたように。

穏やかなその寝顔を、目に焼きつける。

そして、口を開いた。


桜、あの歌の意味を教えてくれたお返しに、私も一つ教えてやるよ。

空のあの双月は、小さい方が女月、大きい方が男月って言うんだ。
でも、実際は女月のほうが、男月よりもずっとずっと大きい。遠くにあるから、小さく見えてるに過ぎない。


二つの月は、地上から感じるよりも遥かに離れてるんだ。


あんなに寄り添っているように見えるのにな。


あまりにも近すぎる場所にあったら、お互いの引き合う力が強すぎて、衝突して二つとも消えてしまうんだそうだ。


どうしてだろうな。


…どうして、近くにいられないんだろうな………。