デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「………?」

怪訝そうにそれを見ていた桜の横にそっと横たわりながら、素肌と素肌を合わせて、ぎゅっと抱きしめた。

「わっ……」

桜の目の前で、カナンのペアネックレスが揺れた。

カナンは、桜のその柔らかさに目を閉じながら呟く。

「温かいな、お前……」

今更ながらに顔を赤くしながら、桜はじっとしている。

「…生きてるからね……カナンも、私も」

緊張して当たり前のことを言ってしまったと思ったが、カナンは少し微笑んで頷いた。

そのまましばらく、二人ともお互いの体温を静かに分け合っていた。



ふと、カナンが口を開いた。

「………あの、歌」

「え?」

「お前がいつも、夜に帰ってくるときに歌ってる、あの異世界の言葉の歌」

「『Fly me to the moon』のこと?」

突然どうしたんだろうと思いながら、軽く口ずさんで見せると、彼は頷いた。

「あの歌詞、どういう意味なんだ」

ゆっくり、桜の黒髪を手ですきながら聞いた。

ぽつりぽつりと桜が日本語訳を話すと、「へえ…そうか」と呟いて、また微笑んだ。

そうして、小さく話をしながらも、カナンの手は優しく桜の黒髪を愛おしんでいた。