デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

湯の中に体を沈めると、ゆるゆると思考が解けていくようだ。
今はあまり何も考えたくなかったから、桜はそれに任せてそっと目を閉じた。

そうすると、昨夜のことが頭によみがえる。

自分を汚してやると言いながらも、恐れるように優しく触れた、あの手。

言葉は冷たいのに、緑の瞳は熱を持って、乞うように自分をみつめていた。

そして……。

(何で?カナン……)

目を開けて、揺れる水面を見た。


(何で、何もしなかったの?)