デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

昨日の荒天が、嘘のような空が広がっていた。

きらきらと光の粒子のリボンが、朝日に揺れる。


フッ、と黒の扇のように並んだ、意外にも長いまつ毛が上がり、桜は目を覚ました。

「…………」

少しぼんやりする頭で、そっと隣に手を伸ばしてみるが、シーツのひんやりとした感触があるばかりで、昨日あったことが本当かどうか、一瞬分からなくなる。

眉をしかめて、きゅっと目をつぶった。

ゆっくりと身を起こす。長い黒髪が、あくまで白い素肌のままの肩や背中、そして胸にこぼれた。

一糸まとわぬその体に、夏用の掛け布団が優しかった。

両腕が、布団がかけられた膝を抱えて、桜は額を埋めた。


夜がわずかに白み始めようかという頃に部屋を出ていった、彼の温かさはどこにも残っていない。

(カナン………)

ますます苦しく目をつぶる。

ああ……早くお風呂に入らないと。服を着なくちゃ。

フラウさんとルネさんが来ちゃう。

あんなに私の幸せを応援してくれる二人が、こんな顔で、こんな姿の私を見たら悲しむだろう。

石のような体を、無理やり湯殿へ向けた。