デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その口調は冷たく、ワンピースを引き剥がしていく手は容赦がないのに、唇は震えて、緑の瞳は痛ましく揺れていた。

「…………」

桜は目を閉じた。

色々な表情を見た、紫の瞳。頬や手をくすぐった、紺碧の髪。自分を包んだ、温かな腕。何度も愛の言葉をくれた、あの唇。

(……本当に、バカだな、私…………)

今更気づくなんて。
こんな事になって初めて、分かるなんて。

でも。

一番大切なのは、私が私に恥じないことだ。たとえ、どんな目にあったって。
カナンに言った言葉は、私自身に誓って、本当だ。

「それで、カナンは信じてくれるんだね?」

自分でも驚くほどの、静かな声が出た。

カナンの手が、ビクリ、と一瞬動きを止めて、目が合った。

「……ああ」

その返事に、桜はもう一度目を閉じる。フッ、とその身から力を抜いた。

「…………」

そっと、覚悟を決めた黒い瞳が、カナンの揺れる瞳を見た。

ゆっくりと、カナンが桜にまたがったまま身を起こした。

シュル、とその帯を自ら解くと、襟が少し開いて、あのシルバーのネックレスがのぞいた。

「……止めないからな」

かすれる声でそう言うと、深くて長いキスを始める。

厳しい言葉とは裏腹に、何て優しく口づけるんだろう、と桜は思った。