デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

見開かれた黒の瞳が凍りつく。

カナンはふっ、と唇の端だけを歪めて嘲笑った。


そうだ。なぜ今まで思いつかなかったんだろう。

桜を手に入れることなんか、簡単じゃないか。

汚してしまえばいいのだ。自分のように。

主君も、あの武官たちも、二度と桜を欲しいと思えなくなるくらい、徹底的に。

桜の清らかさの中に行けないのなら、彼女を自分の暗闇に引きずり込んでしまえばいい。

そうすれば、この娘は私のものだ。誰も手を出そうなんて、思うはずがない。

この娘を求める人間が私だけになった時、きっと私にすがるに違いない。

卑劣だと、人は言うだろう。

知ったことか。元々汚れきったこの身だ。

それで桜が手に入るなら、望むところだ―――


「ほら、どうしたんだよ。やっぱり出来ないか?」

「…………」

震える桜に、冷笑を向けた。

「所詮、お前も他の人間と一緒だ。清らかな自分を保ったまま、わかったような口をきく」

刃物のような言葉を向けながら、またワンピースをグイ、と下げた。

「そうじゃないと言うのなら、私に身体を開いてみせろ。私が、納得するまで。満足するまで。………私が、あの女共にされたようにな」