デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(く…るし…!!)
口をぱくぱくさせながら、必死で首を締上げる手をほどこうとするが、びくともしない。

アスナイはというと、眉ひとつ動かさずに、深い紺色の瞳で冷徹に桜の反応を見ている。


(こ…殺される…!)


『おいアスナイ、何やってんだ死んじまうぞ!』

さすがにシュリが止めに入ったが、アスナイは手を緩めなかった。

『……』

(も…ダメ……)

ついに意識が闇に沈みそうになったその瞬間、ぱっと首が解放された。

ずるりと体の力が抜け、桜はその場にへたり込みながら激しくせき込む。

『…やはり、この娘は『魔』ではないな。黒い髪、黒い瞳をしているが、我らと同じ人の子だ』

桜を見下ろしながら、きっぱりとアスナイが言った。

『…あ?』

ぽかんとするシュリに、なおも言う。