真っ暗な荒天の下、ランプの光を頼りに歩く。
時折雷鳴が遠くで聞こえて、まるで墨のように暗い。
キシキシという渡り廊下の音もかき消されそうなほどの雨が降っている。
暗闇が嫌いな彼は、わずかに眉をしかめて客用の宮へと急いでいた。
しばらくして、ようやく桜の部屋が目で確認できるくらいに近づく。しんとして暗く、気配がない。戸口からの明かり漏れもなく、窓はピタリと閉じられていた。
(……まだ、深宮から戻っていないのか、それとも部屋が暗いままいるのか)
おっかなびっくり部屋の中にいるであろうその姿を想像して、おかしさにクスッと笑った。
――トントン。
そっと、戸を叩いた。
しん……として、返事はない。
「桜?……いないのか?」
戸口の外から、そっと呼ばわってみる。
それでも、彼女の優しい声は聞こえてこない。
カナンはよく戸口の下を見てみた。いつも置いてある、桜の革のサンダルがない。
(……まだ深宮から帰ってきていないのか)
そう察して、宮の出入り口に出た。
(なら、待つまでだ。夕餉まで共にする程度なら、きっともうすぐ帰ってくるさ。……あの、おかしな歌を歌いながら)
時折雷鳴が遠くで聞こえて、まるで墨のように暗い。
キシキシという渡り廊下の音もかき消されそうなほどの雨が降っている。
暗闇が嫌いな彼は、わずかに眉をしかめて客用の宮へと急いでいた。
しばらくして、ようやく桜の部屋が目で確認できるくらいに近づく。しんとして暗く、気配がない。戸口からの明かり漏れもなく、窓はピタリと閉じられていた。
(……まだ、深宮から戻っていないのか、それとも部屋が暗いままいるのか)
おっかなびっくり部屋の中にいるであろうその姿を想像して、おかしさにクスッと笑った。
――トントン。
そっと、戸を叩いた。
しん……として、返事はない。
「桜?……いないのか?」
戸口の外から、そっと呼ばわってみる。
それでも、彼女の優しい声は聞こえてこない。
カナンはよく戸口の下を見てみた。いつも置いてある、桜の革のサンダルがない。
(……まだ深宮から帰ってきていないのか)
そう察して、宮の出入り口に出た。
(なら、待つまでだ。夕餉まで共にする程度なら、きっともうすぐ帰ってくるさ。……あの、おかしな歌を歌いながら)
