デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~


『ん?……何だお前、口がきけないのか?』

シュリは少し目の光をゆるめ、首をかしげて、桜の困りきった顔をまじまじと見つめる。

その時バサリ、という音とともに、アスナイが馬から降りた。

『いや、おそらく言葉がわからんのだろう』

『あぁ?…そうなのか?』

シュリも同じように下馬し、桜の方へ歩み寄る。

二人に挟まれるように立たれた桜は、怯えと恐れからまた震えだした。

(この人たち…何?周りの人たちとは何か違う格好だけど…)

まさか、さっきの見世物小屋の連中の仲間だろうか。

『…しかしよおアスナイ、こいつ本当に『魔』じゃねえのか?』

シュリがまだ信じられないというように、剣の切っ先を桜の前で上下させた。