デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

はあ…と少し疲れたようにため息をついた。

「私ももっと大人になって、そういう………経験を積んだら、こんなに神経質にならないのかなあ」

桜にとっては独り言のように自分に呟いた言葉だったが、王は小さく息を呑んだ。

桜が、他の男たちと。この肌を、自分以外の誰かと。

思わず、その白い手を強く握りしめた。

「駄目だ。許さん」

硬い響きに、びっくりしてその厳しい目を見返した。

「は……」

ポカンとして少し固まったが、またムカっとしてわざと冷たく言う。

「命令されるいわれはありません。王様がしてた事と一緒のことじゃないですか。ていうか私はしませんよ、そんなサイテーな事」

腕を組んで、横を向いた。

桜に対して1番後ろめたく痛いところを突かれて、ぐっ、と口をつぐむ。

王が動きを止めた隙に、再び戸口へ向かって歩きだした。

あわてて振り向いて、その手を取った。

「送る」

「いいです。はなしてください」

「送りたいのだ。……ほら、雷鳴が聞こえるだろう?そなた、雷が恐ろしいと……言っていたではないか」

何とかこの気まずいわだかまりを消したくて、言い募った。

そのどこかすがるような声を無下にできずに、あきらめた桜はうなずいた。