デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~


赤い顔で、唇を噛んで回れ右をしようとする。

「………」

じれったくて、はっきり自分を好きだと言ってほしいあまりに、意地悪を言い過ぎたか、と少し反省した王は、桜を優しく呼び止めた。

「桜……待て。そう怒るな。また、雷雲も近づいてきたようだぞ。後で、私が送っていくから」

「いいです。一人で帰れます」

ムカムカモヤモヤとする胸の中に耐え難くなって、さっさと戸口へ歩き始める。

「待てと言うのに」

そっと、手を捕まえた。

それを、思わず顔をしかめて見た。

―――あの、寝台の上で、この大きな手で、きっとたくさんの女の人と。

ぴっ、と鋭く振り払う。

「やめてください。触らないで」

その別人のように冷たい声に、呆気にとられた。

「桜?」

「………」

またプイと顔をそむけて歩きだす。

「……それは、可愛くないぞ、そなた」

少し呆れたような声に、ついに我慢の限界をむかえた。