デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

向かい合って、夕餉をとる。

恥ずかしいのと気まずいので、桜は相手を直視できなかった。
ただ王の方も言葉を発さずに、黙々と食事をしていた。
どうにも気になって、汁物の椀に口をつけてそっと目線だけで彼の様子を伺う。

ふと、目があった。

あわててその黒い瞳を伏せる。

(はあ……この空気………。なんですぐに王様を止めなかったんだろ)

一番最初にあの休憩室で押し倒されたときは、怒りと嫌悪感しかなかったのに。

二回目は、嫉妬する姿が可愛いと言われて。あわててしまって、動揺したけど、嫌じゃなくて。

で、今日は………

(何で、何でされるがままになってしまったのかなあ)

それに、今日も触れられても嫌じゃなかった。というか、むしろ…。

(うう〜!!)

恥ずかしさが限界値に達して、桜は行儀悪く箸の先を噛んだ。

(大体、触りすぎだよ!押し倒されただけで、三回だよ三回!)

ムヒーッと密かに歯を噛みしめて、羞恥にぷるぷる震えた。

(ダメ、もう限界。早く部屋に帰ろう)

いたたまれなさに、食事のペースを早めた。