デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ぎゅっ、と桜を抱く腕に力がこもった。

温かな腕と胸に包まれて、ますます頬を赤くしながらまばたきを多くした。

緊張は前と変わりなかったが、じたばたと逃れることはしない。それに、何だかわずかに胸の奥が熱を持って痺れる。

少し桜の瞳が潤んで、自分でも意識しないうちにそっと頭をもたせかけ、頬を王の胸に寄せた。

(……!)

驚いた彼は、そんな桜を見下ろす。

こくん、とその喉が鳴った。

「…………」

これまでとはあきらかに違うその反応に、嬉しいを通り越して、戸惑う。
ゆっくりと、熱が顔に集まってくる。

まさか、今日の桜のおかしな態度は。

いや…しかし、この娘のことだ。こちらのヌカ喜びに終わる可能性も大だ。

ぐるぐると明晰な頭脳がこの状況を把握しようとする。

と、その腕に柔らかな感触があったと思うと、きゅっと圧がかかった。

桜の手が、そっとそこをつかんでいた。

「……さく、ら」

驚きで思わず彼女の名を呼ぶと、何かに弾かれたように、はっ、とその瞳が見開かれた。

「あっ………」

あわてて手を離して身を起こし、真っ赤な顔で視線をさまよわせてうろたえている。

「す、すみません!ごめんなさい……!あの、あの、か、雷が怖くて、つい……」

一気に白いシャツの胸が燃えた。

外の雷は、すでに止んでいたから。