デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

そんな彼女の様子に、また首をかしげた。

「本当に、どうしたのだ?」

大きな雷鳴が轟いて、閃光が部屋を真っ白にする。

「あ……えと………」

どうしよう。何だか、すごく恥ずかしい。

いつもより、王様の香りが鼻に届く気がする。その声が、深く聞こえる。

今日が雨で良かった。じゃなければ、自分の頭にさっきからうるさいくらいに響いている脈の音が、このきれいな人に聞こえてしまいそうで。

「体の調子でも悪いのか」

少し心配そうな顔になり、そっと桜の頬に手を伸ばした。

うつむいていた彼女は、その指が触れた瞬間ビクッと体を震わせて、小さく飛び上がった。

「きゃっ」

思わずその頬を逃れるようにそむける。

紫の瞳が見開かれ、少し顔をしかめて手を引いた。

「…すまない、驚かせた」

静かに離れていく気配に、思わず顔を上げる。

「あっ……!あの……」


――待って、違うんです。離れないで。


そんな言葉が飛び出しそうになり、大きな戸惑いとともに慌てて口をつぐんだ。