一方桜は、いつものように女官の後に着いて歩きながら、ただならぬ緊張の中にあった。
カナンに叱られてから覚悟を決めて来たものの、さっきからずっと、ルネとフラウの言葉がぐるぐると頭の中を駆けめぐって、それに囚われっぱなしになっている。
気がつくと宮に着いてしまっていた。
廊下を歩きながら、カナンとさっき言葉を交わさなかったな、と今更思ったが、『カナン様に対して、異性として愛情は持っていないんですね』という彼女たちの確信に満ちた宣告が、同じように頭に貼りついている。
だから、さっき思わず手を解いてしまったっけ。
(私は王様の事が好きで、カナンのことは男友達にしか思っていないの?)
そうなんだろうか。
シュリやアスナイの事も、仲間や兄、先輩のようにしか思えないんだろうか。
告白を受けて、触れられたらやっぱりどきどきするのに。
人の心は変わるものだと、フラウは言っていた。
カナンだけじゃなくて、他の三人だって、自分なんかよりも、もっとずっと好きな女性が現れるかもしれない。
そっちの方が、皆傷つかなくて済むのにとすら思ってしまう。
(当たり前だけど、結局自分の心次第なんだよな……)
ルネが、桜様はお一人ですものと言っていたように、誰か一人を選んだら、その他の人間の想いは切り捨てないといけないのだ。
こんな自分に、四人ともあんなに誠意を持って情愛を示してくれるのに、いつかはそんな事をしないといけないことを考えると、胸がつまる。
でも、努めてそれを考えないようにして、目を閉じた。
自分が本当に心に思い描く人は、誰なんだろう。
カナンに叱られてから覚悟を決めて来たものの、さっきからずっと、ルネとフラウの言葉がぐるぐると頭の中を駆けめぐって、それに囚われっぱなしになっている。
気がつくと宮に着いてしまっていた。
廊下を歩きながら、カナンとさっき言葉を交わさなかったな、と今更思ったが、『カナン様に対して、異性として愛情は持っていないんですね』という彼女たちの確信に満ちた宣告が、同じように頭に貼りついている。
だから、さっき思わず手を解いてしまったっけ。
(私は王様の事が好きで、カナンのことは男友達にしか思っていないの?)
そうなんだろうか。
シュリやアスナイの事も、仲間や兄、先輩のようにしか思えないんだろうか。
告白を受けて、触れられたらやっぱりどきどきするのに。
人の心は変わるものだと、フラウは言っていた。
カナンだけじゃなくて、他の三人だって、自分なんかよりも、もっとずっと好きな女性が現れるかもしれない。
そっちの方が、皆傷つかなくて済むのにとすら思ってしまう。
(当たり前だけど、結局自分の心次第なんだよな……)
ルネが、桜様はお一人ですものと言っていたように、誰か一人を選んだら、その他の人間の想いは切り捨てないといけないのだ。
こんな自分に、四人ともあんなに誠意を持って情愛を示してくれるのに、いつかはそんな事をしないといけないことを考えると、胸がつまる。
でも、努めてそれを考えないようにして、目を閉じた。
自分が本当に心に思い描く人は、誰なんだろう。
