デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

夜の歓楽街・キトニを、シュリとアスナイは馬を並べて進む。

「賑やかだな。ランプいらないくらいだ」

人で溢れ、店の灯りでまばゆい大通りを眺めながら、シュリが呟いた。

「大通りはな。一歩裏に入れば全く違う」

周囲に目を配りながら、アスナイが応えた。

肉や魚を焼く匂い、人々の話声、客寄せ、着飾った遊女の流し目―

目移りしそうな誘惑がごったがえしていたが、二人の探しているような者は見当たらない。

「キリねえな、アスナイ」
「ああ…だが、この付近であることは間違いない」
「裏路地に入って探してみるか」

シュリの提案に、アスナイも頷いた。

「…そうだな。少々物騒だが、そうも言ってられまい」

馬首を返して、路地への入口へ入ろうとした、その時。