デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その一部始終を見ていた桜。

さっきの、ルネの言葉を思い出していた。

(そっか……良かった。ほんとに少しずつ、若い女の子とも言葉が交わせるようになってるんだ)

そっと回れ右をして、もと来た道を歩き出した。

正直さびしい気持ちをあるけれど、こうやって少しずつ、分け隔てなく誰とでも話ができるようになったら、カナンの将来ももっと広がるかもしれない。

それに。

(今は私が好きって言ってくれてるけど、そのうちもっと魅力的な女の子が、カナンを幸せにするかも)

さびしいのと、嬉しいのと、彼に良かったねと言いたい気持ちが相まって、少し複雑だ。

てくてくと歩を進めて、二人の女官が待つ所まで帰ってきた。

「お待たせしました」

「おかえりなさいませ、桜様。カナン様とお会いになれましたか?」

二人が微笑んで一礼する。

「ああ…いえ。私が心配しなくても大丈夫だったみたいです」

桜の手に握られたままの手ぬぐいを見て、二人は怪訝そうな顔をした。

「なんか、他の若い女官さんが拭くもの渡してましたよ。ルネさんの言うとおり、ほんとに変わりましたね、カナン」

むうっ、と二人は眉間にシワをよせた。

「まあぁ!なんって厚かましいっ!どこの馬のホネですの!」

「美形の玉の輿狙いが見え見えですわ!そーゆー女に限って大したことない顔だったりするんですのよ!」