デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「桜様、まだ我が君は執政の間でお仕事をされてらっしゃるはずですわ。近侍は外でお待ちしてるはずです」

「ちょっと行って、様子を見て一言声をかけるぐらいなら、邪魔になんかなりませんわ!」

急に熱量を持って話し出す二人。

「いや…でも別に、どうしてもってわけでは…」

フラウが、ため息をついて言った。

「桜様、近衛に言い寄る女が多いのは、昨日お話しましたわよね」

「?……ええ……」

「近侍も、同じくらい多いんですのよ」

ずい、とその顔が近くなった。

「へえ〜…そうなんだ……」

「特にカナン様はあの外見ですし」

「うん、キレイな顔してますよねえ」

素直にうなずく桜に、じれったそうにルネが言いつのった。

「実はですね、桜様。若い女官の間で、カナン様の雰囲気が柔らかくなったって、評判なんですのよ!少しですけれど、私達とも言葉を交わせるようになった、って!」

「ほんとですか、それ!」

「何で嬉しそうになさるんですのっ!」

「え」

「明らかに桜様のおかげですのに、のうのうと言い寄る女が出てきているんですのよ!許せませんわ!」

ギリギリと、二人して目を燃やしている。

「いやあ、でも……人の心は自由ですから、それは」