「そっか……武官さんは付き合いも多いみたいですもんね」

「ええ……嫌なんですけど、でもあんまり口出すと、重いって思われそうで……」

しゅん、と下を向く。

「ふふ、可愛いですね、フラウさん」

思わずその姿に桜は微笑んだ。
フラウは顔を上げて、ポッと頬を染め、「そんな……」と言ってうつむく。

(あー、これだよ、これ。恋する女の子って、こんな感じ…)

華奢で、間違っても体重78キロなんてないし、ふわふわの髪に、いい匂いがして。
いきなり全裸で猛獣と戦ったあげく『魔』に食われそうになったりしない。
理不尽にファーストキスを奪われたりしないし、水浴び現場を見られたりしないし………もうやめよう………。

「でも、その近衛さんが好きなのはフラウさんなんですよね?自信を持って、フラウさん。私からしたら、天使みたいに可愛いですよ」

真っ直ぐ目を見て優しく微笑む桜に、また赤面した。

「……ねえルネ、もし桜様が男性だったら、私ちょっとヤバかったかも」
「…それ、私も思う」

「ん?」

キョトンとする桜に、赤い顔のまま首を振った。