桜の問に、うなずく。

「ええ。私は結婚してから実家を出て、主人の家にきましたの」

ルネが幸せそうに笑い、となりのフラウをひじでつついた。

「フラウは今同棲中ですのよ。さっさと結婚しちゃえばいいのに」

すると、フラウは顔を赤くした。

「だって……なかなかプロポーズしてくれないんだもの」
「だからぁ、ズルズル同棲なんかするからよ。このままの関係が心地よくなっちゃってるんだってば!一回実家に帰りなよ!」
「だって……それで冷められたらやだもん…」
「もー、ならないって!なったらそれまでの男ってことよ!」
「やだ……別れたくないもん……」

(高度だ………私にはあまりにも……)
目を丸くして、目の前の展開を見ている桜。

「フラウさんの彼氏さんて、近衛でしたよね」

「あっ…はい」

「じゃあ優秀なんだ……すごいなあ」

ため息をつきながら言うと、フラウは苦笑いした。

「そーなんですよ!だからフラウったら、心配しっぱなしで」

「心配?」

「ちょいちょい、他の女にちょっかい出されてるんですの!モテますもの、近衛は」

ずうん、と沈むフラウ。

「はあ〜……」

熾烈な玉の輿競争は、どこの世界にもあるらしい。