デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

娼館にいて、客の付かない女たちの相手をさせられ、その寂しさと欲のはけ口にされていた頃は、ひどい苦痛でしかなかった行為。

ついこの間まで、思い出すだけでうずくまってしまうほどの嫌悪感があったのに。

(……心地良い)

桜の唇や舌の温かさも、小さな息も、未だに震えるその手も。
満ち足りて、幸せな気分になる。

そして、一方で胸がしびれるくらい切ない。

(もっと、先の事もしたい)

この白い肌に触れて、愛してみたい。
あの地獄の責め苦のようなそれとは違って、きっとたまらなく甘美で、幸福だろうと思う。

こんな事を考えるのは、やはり自分は汚れきっているからだろうか、と思うが、桜はそんな自分をあっさり肯定してくれた。だから、素直にそれを望むことができる。

後戻りが出来なくなる前に、ゆっくりと唇を離した。

「カナン…もう……!だから、こういう事は」

不意打ちを食らった桜が、抗議の眼差しを向ける。

「何だよ。今更だろ」

部屋に連れ込んで、寝台に押し倒して、その柔らかな肌を思い切り貪って。
自分の手で、誰も知らない彼女の姿を暴いてみたい。

そんな欲望を押し殺して、ツンと横を向いて見せた。

いつものように。